後日乗

ごにちじゃう Life After Tuck in Tokyo

米国Dartmouth College, Tuck SchoolでMBAを取る過程を
365日x2年余すところなく記した「ダートマス日乗」
帰国後 東京における日々を「後日乗」として 再び記す
(副題としてはあまりに長い)
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右脳とユーフォリア
 先日、半日時間ができたので、埼玉県の実家に行った。

往復4時間強かけて、実家に滞在したのは30分ほど。

お茶をいただきながら、母と近況を話し、
父の病状について話をする。


そこで、母がずいぶん前に切り取っていたという産経新聞の切り抜きを見せてくれた。


父が脳出血で倒れてからすでに4年半。
急性期の頃の希望はすでに持っていないけれど、
時々新聞で目にする脳についての記事は切り取っている。


母が見せてくれたのは、自ら脳卒中の発作に襲われて、左脳の機能を破損した脳科学者ジル・テイラー博士についての記事だ。

Dr. Jill Bolte Taylor ジル・テイラー博士:
神経解剖学者。ある朝、脳卒中の発作に襲われる。発作中自分が体験していることが、脳科学者として最高の研究材料であることを認識、脳機能が運動、スピーチ、記憶、自己認識...と、ひとつひとつシャット・ダウンしていく過程を観察した。その後無事生還し、リハビリを乗り越え、発作から8年後に社会復帰。以来、脳卒中や脳の損傷からの回復のためのスポークスマンとなる。脳卒中の発作は彼女の左脳を破損したが、同時に右脳からの創造的なエネルギーの激流を引き起こした。現在は、インディアナの自宅から、ハーバード・ブレイン・バンクを代表して全米を駆け回る。内部から自分の脳を研究するというチャンスを得た脳科学者。ウエブサイト:http://drjilltaylor.com/

博士の著作の翻訳者でもある、サイエンス・ライター竹内薫さんが書いている当該記事の内容を少し引用する。

 脳には個人差があるが、テイラー博士の場合、言語を司(つかさど)る中枢は左脳にあり、そこが侵されたために言葉がしゃべれなくなり、他人の言葉も聞き分けるのが困難になった。友人の言葉は犬の鳴き声みたいに聞こえたという
(中略)
 左脳の機能が低下し、右脳の機能が目立つようになると、何が変わるのだろう? テイラー博士が挙げている例は実に興味深い。言語機能が失われ、物事を論理的に筋道だって考えることができなくなる。他人の言っていることが理解できない。身体の境界がわからなくなり、周囲と渾然(こんぜん)一体となり、まるで「流れる」ような感覚に陥る。つまり、空間の感覚が消えてしまう。また、過去・現在・未来という直線的な時間もなくなり、あるのは「今」だけ。
 しかし、絵(映像)を思い浮かべて考えることはできるし、しゃべっている人の顔の表情で、その人の気持ちはわかるという。また、宇宙と一体化し、とてつもない幸福感に浸れるそうだ。
(産経新聞 2008年10月11日朝刊より)



左脳が破壊されたことで、言語能力や論理性をもって抑えられていたものが解き放たれた、ということだろうか。

より、直観的になり、
直線的な時間はなくなり、
肉体の境界をもって隔てられていた外部と同一化し、
言語を介さずに相手の気持ちがわかるようになる・・・。


すべての人の右脳がそのような役割となっているのかはわからないが、少なくともテイラー博士の場合は、そうであった。
専門の脳科学者が経験したことであるがゆえに、とても説得力がある。



父の脳は左脳が破壊されているが、右脳は左脳に比べてまだ機能が残っている。
テイラー博士の表現するような幸福感をもしも感じているとしたら、本当に素晴らしいことだ。


自分自身にとっても、本来感じられえる能力を、普段は身体性や論理性をもって抑制されているものを、少しでも解放することができたら、と思う記事だった。
| 橋口寛 | 看病日誌 | 17:26 | comments(1) | trackbacks(1) |
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私の父もユーフォリアを感じてくれていたのではと思えると、少し心が楽になります。素晴らしい!
| 富田欣和 | 2009/06/04 7:08 PM |










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