後日乗

ごにちじゃう Life After Tuck in Tokyo

米国Dartmouth College, Tuck SchoolでMBAを取る過程を
365日x2年余すところなく記した「ダートマス日乗」
帰国後 東京における日々を「後日乗」として 再び記す
(副題としてはあまりに長い)
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21世紀の歴史
ジャック・アタリ「21世紀の歴史」を読む。




睡眠2時間半で、チョコレートを食べまくりながら、筆者の言う「超民主主義」のための活動を精力的につづけているというアタリ。

38歳でミッテラン大統領補佐官になったという、すさまじい博識卓見の人物である。
現在は、サルコジ大統領の下「アタリ政策委員会」の議長を務める。

超大局的・巨視的な視点から世界を見、
人口動態を中心として、世界はこの方向に進むであろう、というものを
導き出していく。
本書には、それらが、「21世紀の歴史」として描かれる。

今後50年先の未来は予測できる。まず、アメリカ帝国による世界支配は、これまでの人類の歴史からみてもわかるように一時的なものに過ぎず、2035年よりも前に終焉するであろう。次に、超帝国、超紛争、超民主主義といった三つの未来の波が次々と押し寄せてくる。最初の二つの波は壊滅的被害をもたらす。

2050年にかけての歴史は、世界にとっても(そして日本にとっても)、そのほとんどが重苦しいものだ。
日本はさらに自衛的・保護主義的路線をとり、核兵器を含めた軍備を増強させながら、必ず軍事的な解決手段に頼るようになる。こうした戦略は、経済的に多大なコストがかかる。2025年、日本の経済力は、世界第五位ですらないかもしれない。

総括すれば、動物種の生物多様性の90%が失われる恐れがある。

地球の覇権をめぐって、市場と民主主義のゾッとするような地政学上の戦いはもうすでに始まっている。

隠しごとは一切できなくなる。これまで社会の生活条件であった秘密厳守は、存在意義を失い、全員が全員のことをすべて知るようになる。

化学兵器により、証拠を残さず指導者を暗殺することが可能になり、急性伝染病も意のままに操れるようになる。また、いずれ複雑な遺伝子兵器が、特に様々な民族に対して使用される。ホコリ粒程度のナノ・ロボット、いわゆるグレイグーは、レーダーで捉えられない監視任務を果たし、敵の体の細胞を攻撃する。次にクローン動物の技術が向上することで、クローン動物に動物爆弾としての任務を託す。

たとえば、近い将来にはE爆弾を、コンデンザー・銅線コイル・爆薬などを材料として400ドル程度で作り上げることが可能となる。

超紛争の前に次に掲げる4つのタイプの紛争がぼっ発する。その四つの紛争とは、(1)希少資源をめぐる紛争、(2)国境をめぐる紛争、(3)影響をめぐる紛争、(4)海賊と<定住民>の紛争、である。

これまでに前述した兵器はすべて使用される。1960年代以来、人類は核兵器という自殺行為に等しい手段を保有してきたが、その核兵器が使用される。(中略)というのは、人類の悲劇とは、人類は何らかの可能性をもってしまうと、常にそれを行ってしまう点にあるからである。


ロバート・ライシュの「暴走する資本主義」や、
ジョナサン・モレノ「操作される脳」が、
そのまま進んでいったかのような未来。

2050年、生きていたとしても自分たちはもう老人であるが、
娘は50歳、下の息子は44歳。
と、暗澹たる気持ちになる。
しかし、アタリはここで己が希望を示す。
しかしながら、人類が自分たちの歴史に終止符を打つ前に、超帝国の失敗や超紛争の脅威により民主主義は海賊を打ち負かし、自分自身の死に対する欲望を抑え込む原動力を見出す。少なくとも筆者はそう信じている。
同盟国の軍隊は、独裁者どもを一掃する。覚せい剤の密売組織を抑え込み、大企業は軍需拡大に商機を見出すことができなくなる。すべての宗教は落ち着きを取り戻し、平和・理性・寛容な精神の源泉となる。
公正・平穏・連帯感・友愛に満ちた世界を構築するための勢力が権力を握る。(すでにその兆候はある)

あまりにも数多くの過ちによって前途有望であった過去を損なってしまったが、その廃墟の上に、ローマ帝国が崩壊した後と同様、生きることの喜び、人種を超えた愛、他者への配慮が復活していく。新たな文明はこうした中から誕生し、活力を失った国家や疲弊した超帝国の残滓に新たな価値観を吹きこんでいく。 地球規模の民主主義が確立され、市場の機能を制限する。地球規模の民主主義は一刻の猶予も許されない緊急の戦いに挑む。すなわち、人類の狂気に対する戦い、気候変動に対する戦い、難病・人間疎外・搾取・貧困に対する戦いである。
こうして未来の第三波が訪れる。

筆者のいう「第三波」。それが「超民主主義だ」。

読んでみていただきたい。

アービン・ラズロ博士が「COSMOS」で言うように、世界はブレイクスルーするかブレイクダウンするかの瀬戸際にいる。

我々すべてにとって、それは他人事ではありえない。

<参考>「COSMOS」

| 橋口寛 | | 00:59 | comments(0) | trackbacks(0) |
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