後日乗

ごにちじゃう Life After Tuck in Tokyo

米国Dartmouth College, Tuck SchoolでMBAを取る過程を
365日x2年余すところなく記した「ダートマス日乗」
帰国後 東京における日々を「後日乗」として 再び記す
(副題としてはあまりに長い)
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許すことと忘れること
「トランクの中の日本」という写真集を、妻に借りて読んだ。




米軍の従軍カメラマンとして、占領直後の日本に上陸し、
被爆後の広島、長崎を撮影したカメラマンによる写真集。
(著者は今も原爆症で苦しんでいる)

あまりの惨状に、帰国後長らくトランクの中に封印していた写真。
それを人生の晩年にいたって再び取り出し、世の中に伝えようとしている。

しかし、スミソニアン博物館で展示しようとした際には、
米国内の強い反対運動にあい中止となった。

「原爆は、戦争早期終結と多くの人命の救助のために必要不可欠であった」
というロジックを崩しかねない、反愛国的な展示である、ということだ。


全編印象的な写真が迫ってくる。

徹底的に破壊し尽くされ、死の町になった光景のすさまじさに加えて、
驚くことは、
この60年間で、ここまで日本の風俗は変わってしまったのだということだ。

まるで違う生活様式、履物、服装、
そして立ち居振る舞い(動画でなくてもそれは伝わる)がそこにはある。


もっとも印象的だったのは、亡くなった2歳くらいの弟の亡骸を背中におぶって、
焼き場に連れてきた10歳前くらいの少年が、
直立不動で立っている写真だ。

やがて弟の遺体は目の前で焼かれ、少年はその前に直立不動で立っていたというキャプションがついている。


そして、ある老人の写真と、その老人から流暢な英語でかけられた言葉も。

いかにも知的で穏やかな人柄に魅せられた私は、彼の言葉に耳を傾けた。 「息子のような君に言っておきたいのだが、今の日本のありさまをしっかりと見ておくのです。国に戻ったら爆弾がどんな惨状を引き起こしたか、アメリカの人々に語り継がなくてはなりません。写真も見せなさい。あの爆弾で私の家族も友人も死んでしまったのです。あなたや私のように罪のない人々だったのに。死ななければならない理由なんて何もなかったのに。私はアメリカを許しますが、忘れてくれと言われてもそれは無理です」


許すことと、忘れることとは違う。
知らぬことは、尚のこと。
| 橋口寛 | | 23:59 | comments(0) | trackbacks(0) |
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