後日乗

ごにちじゃう Life After Tuck in Tokyo

米国Dartmouth College, Tuck SchoolでMBAを取る過程を
365日x2年余すところなく記した「ダートマス日乗」
帰国後 東京における日々を「後日乗」として 再び記す
(副題としてはあまりに長い)
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山口揚平さん新刊
山口揚平さんにいただいた新刊「そろそろ会社辞めようかなと思っている人に、一人でも食べていける知識をシェアしようじゃないか」を読んだ。

まず感じたことは、
「これは山口さんの身を切り魂を削ってボロボロになった体験を昇華した本であるな」
ということと、
「そんな魂を削る思いで書いた本をこんな短時間で読んでしまっていいものだろうか」
という申し訳ないような気持ちだった。


山口さんがこの本の中で書かれている起業初期は、僕も彼と同じ場所にいて、傍からではあるがその様子を見ていたし、その後も折にふれて色々な話をしていたので、とても感情移入しながら読み進めた。

コンサルティング会社を経て、独立・起業というプロセスも似ている山口さんと僕の間にある相違点を挙げるとすれば、きっと僕は山口さんほどに「さびしがり屋」ではなかったのだな、という点だろうか。「さびしがり屋」という言葉は「愛への渇望度」とも言いかえられるし、そのための「愛の与え方度合」ともいえるかもしれない。
だから山口さんは僕よりもはるかにむき出して愛を叫んできたのかもしれないし、そのために傷つくことも多かったのだろうとも思う。そのすべてが今の彼を作っているのだろうと思う。


内容は山口さんらしくロジカルでオーガナイズされたもので、装丁やタイトルイメージをいい意味で裏切る骨太な構成の本だ。
フリーエージェントとして生きようと思っている人、独立しようかと少しでも考えている人は読んで損はないと思う。


以前に山口さんにも伝えたことですが、僕は彼のことを「起業家」というよりも日本の未来をかたちづくる「思想家」になりえる一級の人材だと思っているし、そのための発信をどんどんしていただきたいと願っています。

今後つづいていくであろう彼の著作を楽しみに待ちたいと思います。


| 橋口寛 | | 23:16 | comments(3) | trackbacks(0) |
食の本
最近、いろいろとお世話になっているKIYOさんこと南清貴さんの「究極の食」を読む。

 



KIYOさんは、俳優から整体師を経て、ナチュラルエイジングレストラン「キヨズキッチン」をオープンさせ、現在は食関係のプロデュースを広く行っている。
学校給食を変えることが、夢だそうだ。


これまでの数々の活動を通じて、食からの健康を世に問うてきた。
徹底的な経験主義に基づく主張には、とても説得力がある。
 
・人間の体は食べたものでできている
・食べたものの分解消化にはエネルギーが必要だ
・肉食・動物性食品の消化吸収は極めて効率が悪い
・精製されていない穀物・豆類の方が、精製された白いものよりも良い
・トランス型脂肪酸(マーガリンなど)は百害あって一利なしだ
・コンビニのサラダ・カット野菜は危険だ・安い食品、輸入食品を買っていてはいけない
・精製塩は危険だ
・白い砂糖はもってのほかだ
・食べ合わせに気をつけよう
・朝食をとる必要はない、朝はせめて果物のみにしよう

などのメッセージは、どれもうなずけるものばかり。


これは正しい、と直観的に感じる本が、食の分野に増えている。
そして、そのどれもが、同じメッセージを伝えている。
 
赤峰勝人さんの「ニンジンから宇宙へ」も素晴らしい本だ。
 



その本の中の一節。

私はその日、一人でニンジン畑にいました。ちょうど間引いた一本のニンジンを見つめていた時のことです。その瞬間、それこそすべてのことが、本当に理解できたのです。
「宇宙に存在するすべてのものは、循環している」



先日紹介した赤峰さんの「ニンジンの奇跡」もまた良かった。
 


他にも同じメッセージを感じる本は多くある。
たとえば、新谷弘美さんの「病気にならない生き方」シリーズが、もっとも有名なものだろう。
 






また、断食道場を主宰する石原結實さんの本も、同じメッセージが通底している。

5〜6冊読んだが、先日読んだ「空腹力」もとてもよかった。

 



また、逆サイドの視点から、食品添加物の存在がいかに恐ろしいかは、安部司さんの「食品の裏側」が強烈に伝えてくれた。
 



こうしたメッセージを発する人たちが、増えている。
そうした本が、増えている。
 
一方で当然逆のメッセージを発する人たちも、変わらずにいる。
彼らは、そのポジションに生活がかかっている(と思っている)のだから。


そのどちらを選ぶかは、我々次第である。

食の影響はすぐには体に表れない。
しかし、食は確実に体を変えていく。


論理と、直観と、想像力で、感じたい。
| 橋口寛 | | 23:32 | comments(0) | trackbacks(1) |
7月に読んだ本
しばらく書いておらず、だいぶ遅くなりましたが、7月に読んだ本をご紹介します。
7月は9冊でした。
 
<皇室について>
1.「語られなかった皇族の真実」(竹田恒泰)
2.「皇統保守」(竹田恒泰、八木秀次)
3.「怨霊になった天皇」(竹田恒泰)
4.「天皇論」(小林よしのり)

<その他もろもろ>
5.「ニンジンの奇跡」(赤峰勝人)
6.「同行二人 〜松下幸之助と歩む旅」(北康利)
7.「「戦略PR」の仕掛け方」(玉木剛)
8.「江戸城を歩く」(黒田涼)
9.「待ってくれ、洋子」(長門裕之)

1.2.3. 4.
天皇・皇室について集中的に読む。
特に竹田恒泰 さんの本を中心に。
自分自身は、皇室について知らないで語っていたことがいかに多かったということが
よくわかった。


5.
なずなの会の赤峰勝人さんの本。
「にんじんから宇宙へ」も素晴らしかったが、
この本もやはり素晴らしい。
ここにも一人、何かの天命を受けて活動する人がいる。 

6.
松下幸之助についての本。
「白洲次郎 占領を背負った男」の著者、北康利さんによる本。
素晴らしい。
この本を開いている間じゅう、幸之助の人生を、生き生きと追体験することになる。

7.
PRについて、考えるところあり、読んだ。

8.
江戸城の遺構がどこにどう残っているかを説明してくれる、
僕の好きなタイプの本。
周期的にこの種の本を読みたくなる。
江戸城は今の皇居よりもはるかに広大であったということがよくわかる。
なるほど、という気づきも多く、想像力を刺激される。

9.
認知症になってしまった南田洋子を老々介護する長門裕之による本。
家にあったので読む。
複雑な思いで読んだ。
老々介護の問題は、国として極めて重大な問題である。
多くの人にとって、他人事でありえない。
自分自身、自分の親、配偶者の親まで含めれば、30代以上の日本人の
半数以上が、ひたひたと忍び寄る何かを感じているのではないか。
なのに、今のところ、有効な打ち手は存在しない。
| 橋口寛 | | 23:49 | comments(0) | trackbacks(3) |
6月に読んだ本
6月に読んだ本をご紹介します。
珍しく小説が多い月であり、12冊でした。

<小説など>
1.「1Q84 Book 1」(村上春樹)
2.「1Q84 Book 2」(村上春樹)
3.「海辺のカフカ(上)」(村上春樹)
4.「海辺のカフカ(下)」(村上春樹)
5.「永遠の旅行者(上)」(橘玲)
6.「永遠の旅行者(下)」(橘玲)
7.「雨の降る日曜は幸福について考えよう」(橘玲)

<その他>
8.「自由とは何か」(佐伯啓思)
9.「いま、聖徳太子の知恵が未曾有の国難を救う」(小林彌六)
10.「コミュニケーションをデザインするための本」(岸勇希)
11.「奇跡の脳 」(ジル・ボルト・テイラー)
12.「『お通し』はなぜ必ず出るのか」(子安大輔)


1.2.
村上春樹の文章には、伝染性がある。
直喩を多様する文体は、はじめうっとうしく、やがてはやけに心地よくなる。
その世界観には、こちらの脳に土足で入り込む何かがある。
この本を読んでいた間、完全に頭を村上春樹の世界観に支配されていた。
高校生の時に、短期間に村上春樹の本をすべて読んだ時に似た感覚に、
久しぶりに襲われた。

3.4.
「1Q84」の流れで、「海辺のカフカ」も。
ギリシャ神話。大江健三郎。

5.6.
橘玲の小説を。
小説家なのかエッセイストなのか金融評論家なのか、
定義する必然性はともかく、僕にはわからない。
しかし、それが掛け算になると、希少な存在となる。
面白い小説であった。

7.
同じく橘玲。
まさしく、雨の降る日曜の午後に、タイトルを見て読もうと思った。
しかし、内容とタイトルには、ほぼ相関はない。

8.
自由とは何か?特にリベラリストの言うところの「自由」とは何か?
それをクリティカルに展開する本。

9.
小林彌六教授による、今こそ聖徳太子の「和」の外交に学ぶべし、とする本。
「日出ずるところの天子」、「冠位十二階」、「17条の憲法」とは、
その本質において、現代でいえば、何のメタファーたりえるのか?

10.
電通マンの書いた、コミュニケーションデザインについての本。
友人JJに薦められて読む。面白い。
ただし、「誰のためのデザイン」には負ける。

11.
先日紹介した、脳出血で脳機能障害の襲われた脳科学者の手記。
脳卒中患者やその家族だけでなく、多くの人が知るべき内容であると思う。
あまねく人は脳卒中予備軍であるのだから。

12.
飲食店ビジネス専門のコンサルタントである筆者による、
飲食店ビジネスのエコノミクス等に関する本。
タイトルは、「xxはなぜxxxなのか?」式の、商業主義的・アンチセクシー路線であるが(笑)、内容は、とても示唆的であった。
| 橋口寛 | | 23:01 | comments(0) | trackbacks(0) |
4月に読んだ本
また遅くなりました。
4月に読んだ本の紹介です。


<もろもろ>
1.「神道 おふくろの味」(葉室頼昭)
2.「トランクの中の日本」(ジョー・オダネル)
3.「正しく決める力」(三谷宏治)
4.「21世紀の歴史」(ジャック・アタリ)
5.「金融無極化時代を乗り切れ!」(丹羽宇一郎)

<軍事戦略論についてまとめて読む>
6.「戦略思想家事典」(片岡徹也編集)
7.「戦略論体系モルトケ」(片岡徹也編著)
8.「戦略・戦術用語辞典」(戦略研究学会編集)


1.
先日急死した春日大社前宮司の葉室頼昭さんの本。
葉室さんについては、同時多発的に多くの人から推薦を受け、多くの人との縁を聞かされるなど、非常にシンクロを感じる。

最後の著作になってしまったけれど、これだけ多くの本を世の中に生み出し、伝えるために医者から宮司に転換することになっていたのだと思う。

ご冥福をお祈りします。


2.
先日ご紹介した、「トランクの中の日本」。


3.
コンサルティング会社時代の上司であった三谷さんの最新刊。
大人から子供まで決められない人が多い中、決める力を正面から取り上げる。

100%正しい回答など存在しない。
トレードオフのない選択肢もありえない。
何かを得れば、何かを失う。
なのに我々は決めなければならない。
子どもたちには、常に自ら決めさせることを意識していきたい。


4.
先日ご紹介した、ジャック・アタリの本。
ぜひご一読を。


5.
尊敬できる経営者の一人、丹羽さんの本。
清廉な、リーダーである。


6.7.8.
戦略論関係についてインプットしようと思い、読む。
ビジネス・ストラテジー関連の概念が、ことごとく軍事ストラテジーからの転用であることを、当たり前だが再確認する。
軍事の概念をビジネスの概念に転用することは、ある段階では有用だっただろうが、現在においては、明らかに不適合を起こしつつあるように思う。
逆の文脈で、軍事を語ることもしかり。
類似性はあれど、その上に異なったフレームを構築することが、特にビジネスの未来には求められている。
| 橋口寛 | | 18:57 | comments(2) | trackbacks(0) |
21世紀の歴史
ジャック・アタリ「21世紀の歴史」を読む。




睡眠2時間半で、チョコレートを食べまくりながら、筆者の言う「超民主主義」のための活動を精力的につづけているというアタリ。

38歳でミッテラン大統領補佐官になったという、すさまじい博識卓見の人物である。
現在は、サルコジ大統領の下「アタリ政策委員会」の議長を務める。

超大局的・巨視的な視点から世界を見、
人口動態を中心として、世界はこの方向に進むであろう、というものを
導き出していく。
本書には、それらが、「21世紀の歴史」として描かれる。

今後50年先の未来は予測できる。まず、アメリカ帝国による世界支配は、これまでの人類の歴史からみてもわかるように一時的なものに過ぎず、2035年よりも前に終焉するであろう。次に、超帝国、超紛争、超民主主義といった三つの未来の波が次々と押し寄せてくる。最初の二つの波は壊滅的被害をもたらす。

2050年にかけての歴史は、世界にとっても(そして日本にとっても)、そのほとんどが重苦しいものだ。
日本はさらに自衛的・保護主義的路線をとり、核兵器を含めた軍備を増強させながら、必ず軍事的な解決手段に頼るようになる。こうした戦略は、経済的に多大なコストがかかる。2025年、日本の経済力は、世界第五位ですらないかもしれない。

総括すれば、動物種の生物多様性の90%が失われる恐れがある。

地球の覇権をめぐって、市場と民主主義のゾッとするような地政学上の戦いはもうすでに始まっている。

隠しごとは一切できなくなる。これまで社会の生活条件であった秘密厳守は、存在意義を失い、全員が全員のことをすべて知るようになる。

化学兵器により、証拠を残さず指導者を暗殺することが可能になり、急性伝染病も意のままに操れるようになる。また、いずれ複雑な遺伝子兵器が、特に様々な民族に対して使用される。ホコリ粒程度のナノ・ロボット、いわゆるグレイグーは、レーダーで捉えられない監視任務を果たし、敵の体の細胞を攻撃する。次にクローン動物の技術が向上することで、クローン動物に動物爆弾としての任務を託す。

たとえば、近い将来にはE爆弾を、コンデンザー・銅線コイル・爆薬などを材料として400ドル程度で作り上げることが可能となる。

超紛争の前に次に掲げる4つのタイプの紛争がぼっ発する。その四つの紛争とは、(1)希少資源をめぐる紛争、(2)国境をめぐる紛争、(3)影響をめぐる紛争、(4)海賊と<定住民>の紛争、である。

これまでに前述した兵器はすべて使用される。1960年代以来、人類は核兵器という自殺行為に等しい手段を保有してきたが、その核兵器が使用される。(中略)というのは、人類の悲劇とは、人類は何らかの可能性をもってしまうと、常にそれを行ってしまう点にあるからである。


ロバート・ライシュの「暴走する資本主義」や、
ジョナサン・モレノ「操作される脳」が、
そのまま進んでいったかのような未来。

2050年、生きていたとしても自分たちはもう老人であるが、
娘は50歳、下の息子は44歳。
と、暗澹たる気持ちになる。
しかし、アタリはここで己が希望を示す。
しかしながら、人類が自分たちの歴史に終止符を打つ前に、超帝国の失敗や超紛争の脅威により民主主義は海賊を打ち負かし、自分自身の死に対する欲望を抑え込む原動力を見出す。少なくとも筆者はそう信じている。
同盟国の軍隊は、独裁者どもを一掃する。覚せい剤の密売組織を抑え込み、大企業は軍需拡大に商機を見出すことができなくなる。すべての宗教は落ち着きを取り戻し、平和・理性・寛容な精神の源泉となる。
公正・平穏・連帯感・友愛に満ちた世界を構築するための勢力が権力を握る。(すでにその兆候はある)

あまりにも数多くの過ちによって前途有望であった過去を損なってしまったが、その廃墟の上に、ローマ帝国が崩壊した後と同様、生きることの喜び、人種を超えた愛、他者への配慮が復活していく。新たな文明はこうした中から誕生し、活力を失った国家や疲弊した超帝国の残滓に新たな価値観を吹きこんでいく。 地球規模の民主主義が確立され、市場の機能を制限する。地球規模の民主主義は一刻の猶予も許されない緊急の戦いに挑む。すなわち、人類の狂気に対する戦い、気候変動に対する戦い、難病・人間疎外・搾取・貧困に対する戦いである。
こうして未来の第三波が訪れる。

筆者のいう「第三波」。それが「超民主主義だ」。

読んでみていただきたい。

アービン・ラズロ博士が「COSMOS」で言うように、世界はブレイクスルーするかブレイクダウンするかの瀬戸際にいる。

我々すべてにとって、それは他人事ではありえない。

<参考>「COSMOS」

| 橋口寛 | | 00:59 | comments(0) | trackbacks(0) |
3月に読んだ本
かなり遅くなりました。
3月に読んだ本をご紹介します。

先月は完全にバラバラのジャンルから、7冊でした。
(そのほかは資料系)


<生と死について>
1.「生きるとは、自分の物語をつくること」(小川洋子、河合隼雄)
2.「ずーっと ずっと だいすきだよ」(ハンス・ウィルヘルム)
3.「悼む人」(天童荒太)

<その他>
4.「非常識経営の夜明け」(天外伺朗)
5.「老子」(蜂屋邦夫訳注)
6.「ゲノムと聖書」(フランシス・コリンズ)
7.「徹底抗戦」(堀江貴文)


1.
哲学者河合隼雄と、「博士の愛した数式」の小川洋子が、映画をきっかけとして始めた対談。残念ながらすべてを終える前に、河合隼雄は亡くなってしまった。
河合隼雄は、「分けられないものを明確に分けた途端に消えるもの」を魂と呼ぶという。
要素還元主義では切り分けられないもの。
善と悪に分けた瞬間に、そこから大事な魂は抜け落ちてしまうのだ。

2.
絵本の名作。子どもたちと読む。
小さなときから一緒に育った愛犬エルフィーが、年老いて死んでしまう。
でも、毎日「ずっと大好きだよ」と語りかけ続けてきたことが、主人公の少年にとっての救いとなっている。
大好きな相手に大好きだと伝えよう。
大切な相手に大切だと伝えよう。
それがメッセージ。
「最後だとわかっていたなら」に通じるメッセージ。

3.
ずいぶん前に石野さんより勧めてもらい、長く積んであった本。
著者が深く向き合って書いたことが嫌でも伝わる。
死について、考えさせられる小説。

4.
「フロー経営」の元ソニー常務・天外伺朗さんの本。

5.
老子について、この訳はわかりやすい、と大先輩Uさんに教えていただき読む。
白文、読み下し、意訳および解説がついていて、非常に分かりやすかった。

6.
アメリカのヒトゲノム計画をリードした一級の科学者である著者が、かつての科学至上主義者からクリスチャンになった経験に基づき、科学と宗教について論じる本。
原題は、実に「The Language of God - A Scientist Presents Evidence for Belief」である。遺伝子の研究者であり天理教信者でもある村上和雄筑波大名誉教授や、形成外科医のゴッドハンドと称されながら春日大社の宮司になった故葉室さんにも通じるものがある。
科学と神(あるいは大いなる何か)は対立概念ではなく、矛盾を超えて止揚しうるものである。しかし、リチャード・ドーキンスの「利己的な遺伝子」的な、科学至上主義か、あるいは聖書から外れた進化論などの授業は教科書にも載せられないような、矛盾を「衝突」させてしまうアメリカではそれほどすんなりとは理解されないものかもしれない。


7.
ホリエモン近著。
かつてライブドア社長としてメディアの寵児となり、一転して地にたたきつけられたことが、まるで遠い過去のことのように思えるほど、多くのニュースにメディアはくるくると踊った。
僕も当時このブログで、ライブドアのMSCB批判もしたし、逆に逮捕後のメディアのあまりの節操のなさに「惻隠の情はなしや」と批判もしたが、その後は触れていない。
判断つきかねることは多いが、当事者の主張は、評論家の論評とは決定的に異なる。
| 橋口寛 | | 01:33 | comments(0) | trackbacks(0) |
許すことと忘れること
「トランクの中の日本」という写真集を、妻に借りて読んだ。




米軍の従軍カメラマンとして、占領直後の日本に上陸し、
被爆後の広島、長崎を撮影したカメラマンによる写真集。
(著者は今も原爆症で苦しんでいる)

あまりの惨状に、帰国後長らくトランクの中に封印していた写真。
それを人生の晩年にいたって再び取り出し、世の中に伝えようとしている。

しかし、スミソニアン博物館で展示しようとした際には、
米国内の強い反対運動にあい中止となった。

「原爆は、戦争早期終結と多くの人命の救助のために必要不可欠であった」
というロジックを崩しかねない、反愛国的な展示である、ということだ。


全編印象的な写真が迫ってくる。

徹底的に破壊し尽くされ、死の町になった光景のすさまじさに加えて、
驚くことは、
この60年間で、ここまで日本の風俗は変わってしまったのだということだ。

まるで違う生活様式、履物、服装、
そして立ち居振る舞い(動画でなくてもそれは伝わる)がそこにはある。


もっとも印象的だったのは、亡くなった2歳くらいの弟の亡骸を背中におぶって、
焼き場に連れてきた10歳前くらいの少年が、
直立不動で立っている写真だ。

やがて弟の遺体は目の前で焼かれ、少年はその前に直立不動で立っていたというキャプションがついている。


そして、ある老人の写真と、その老人から流暢な英語でかけられた言葉も。

いかにも知的で穏やかな人柄に魅せられた私は、彼の言葉に耳を傾けた。 「息子のような君に言っておきたいのだが、今の日本のありさまをしっかりと見ておくのです。国に戻ったら爆弾がどんな惨状を引き起こしたか、アメリカの人々に語り継がなくてはなりません。写真も見せなさい。あの爆弾で私の家族も友人も死んでしまったのです。あなたや私のように罪のない人々だったのに。死ななければならない理由なんて何もなかったのに。私はアメリカを許しますが、忘れてくれと言われてもそれは無理です」


許すことと、忘れることとは違う。
知らぬことは、尚のこと。
| 橋口寛 | | 23:59 | comments(0) | trackbacks(0) |
2月に読んだ本
2月に読んだ本をご紹介します。
先月もまた、種々雑多な本ばかり11冊でした。
非常にカテゴライズが難しいです。

<アメリカ関連>
1.「暴走する資本主義」(ロバート・ライシュ)
2.「オバマのアメリカ」(渡辺将人)

<戦争関連>
3.「女ひとり玉砕の島を行く」(笹幸恵)
4.「南の祖国に生きて 〜インドネシア残留日本兵とその子供たち」(上坂冬子)

<その他種々雑多>
5.「無駄学」(西成活裕)
6.「面倒くさがりやのあなたがうまくいく55の法則」(本田直之)
7.「だれかに話したくなる小さな会社」(浜口隆則・村尾隆介)
8.「男道」(清原和博)
9.「ライフスタイルマーケティング」(ODSマーケティングコンサルティングチーム)
10.「生きがいの音楽療法」(飯田史彦)
11.「オピネルと孔雀の日」(吉川洋一郎)

1.
娘のともだちMちゃんのママが編集者として担当した本。
いただいて何気なく読み始めたのだけど、非常に強くインスパイアされた1冊でした。
我々の中にある「市民」としての側面と「消費者・投資家」としての側面の相克の中で、あまりにも「消費者・投資家」としての側面が巨大化してしまっている状態を、著者は「Supercapitalism」と呼んでいます。
絶対に一読に値する本。内容については、項をあらためて書きたいと思います。

2.
実際に米民主党の選挙本部で働いていた若手研究者による本。単なる文化論ではなく、選挙戦の内側から見た視点が、非常に興味深かったです。

3.
先日お会いした笹さんによる本。旧日本軍の玉砕した島々を実際に巡って取材されています。現地に行って語ることの強さは、何においても圧倒的です。

4.
スカルノとハッタによるインドネシアの独立宣言に、日本の皇紀の年号が書かれているのは、有名な話。日本が大東亜戦争に敗れた後、現地に残ってインドネシア独立のために戦った残留日本兵及びその子供たちの人生を丁寧に取材した本です。
故郷を離れて、異国の独立のために戦い、斃れた兵士たちは、インドネシアの英雄墓地に葬られています。残留日本兵の存在は、現在に至るかの国の対日感情の良さに少なからぬ影響を与えています。
現代の日本の生きる私にとっては、想像もつかない人生であります。

5.
「渋滞学」で有名な西成教授による、「無駄」を扱った新刊。
トヨタ生産方式で有名なPECの山田日登志さんが多く登場します。
著者自身が書いていますが、長年の研究の集大成で、極めて精緻な理論化がなされていた「渋滞学」と比べて、仮説レベルの荒々しい内容が目につきます。それでも、今だからこそ仮説でも書かずにはいられなかった、という思いには、共感を覚えました。

6.
本田さんの新著。たしかに究極の面倒くさがりやこそ、仕組み化をしっかりやるものですね。本田さんの本は、「たしかにそうだな、でも普段できてないな」と気づくことが多いです。

7.
和久さんプロデュースによる、浜口さん共著の本。小さな会社のブランディングについて、得られる示唆が多いです。

8.
清原の「男道」。熱い。
1983年の夏。僕は大阪北部の中学校の野球部の1年坊主で、清原と桑田は大阪南部の(当時は泣く子も黙る)PL学園高の1年坊主。僕は何とかギリギリレギュラーになって先輩に白い眼で見られ、清原・桑田は誰が見ても既にずば抜けた大黒柱だった。要は、彼らは同時代に野球をしていた中坊にとって、この上なく眩しい存在だったのだ。
その先のジェットコースターのような人生は、本当に凄まじい。

9.
もろもろ読んでいる中で、読みました。う〜む。

10.
先日、家族で特別講演会に参加した「生きがいの創造」の飯田史彦教授のCDブック。
言葉はいりますまい。

11.
我が息子の「初恋の人」であるA子おねえちゃん。
そのA子おねえちゃんの叔父さんである天児牛大氏の率いる舞踏カンパニー「山海塾」の若かりし頃の記録である。何の保証も金もなく、ヨーロッパに飛び出して、苦労しながら多くのサポーターに支えられ、やがて爆発的な人気を博すまでのストーリー。
ジャック・ケルアックのような、ロードムービーのような本でした。
| 橋口寛 | | 23:38 | comments(0) | trackbacks(19) |
1月に読んだ本
1月が終わってだいぶたちましたが、
1月に読んだ本をご紹介いたします。

<日本近現代史など>
1.「たった一人の30年戦争」(小野田寛郎)
2.「日本は「侵略国家」ではない!」(田母神俊雄、渡部昇一)
3.「だから日本人よ、靖国へ行こう」(小野田寛郎、中條高徳)
4.「あの戦争は何だったのか」(保坂正康)

<その他>
5.「シンクロニシティ〜未来をつくるリーダーシップ」(ジョセフ・ジャウォースキー)
6.「不良のタオ」(阿部英樹)
7.「奇跡のリンゴ」(石川拓治)
8.「熱湯経営〜大組織病に勝つ」(樋口武男)
9.「悪党の金言」(足立倫行)


1.
この本は凄い。
戦争終了後も、「命令はすべて口頭で伝えられる残置諜者である以上、任務解除の命令を口頭で伝えられなければ任務解除には応じられない」と、約30年もフィリピンのルバング島で戦いつづけていた、小野田少尉。
その戦いの一部始終がここに書かれている。極限まで研ぎ澄ませた動物としての本能。薬などなくても病気ひとつしなかった緊張の日々。戦争が終わって20年以上もたってから、銃撃戦で部下を亡くした光景。そして任務解除後帰国してみた日本の堕落した光景。

今は当時の眼光の鋭さがウソのように福々しいお顔をしている。しかし、中身はきっとあの時のままなのだろう。このような人がいまだ存命で、小学生たちに教育をしているという事実・僥倖を、我々は逃すべきではないと思う。時間は、あまり残されていない。

2.
先日お話をうかがった田母神前空将と渡部名誉教授による書。
内容については、うなずけるものばかり。

3.
靖国神社に二度も英霊として祀られた経験を持つ小野田元少尉と、アサヒビール名誉顧問中條さんの対談。
やはり自ら英霊となったことのある小野田少尉の言葉は重いです。

4.
保坂氏による、先の大戦を総括する、とする本。
「はじめに」はよい。しかし、非常に残念。本全体は、「はじめに」のとおりには仕上がらなかったようだ。当時の指導者は皆愚鈍であったかのような、白黒二元論に終始し、出所なき情報多く、匿名伝聞情報多し。
白黒二元論では、学べるものも学べまいに。

5.
弁護士事務所のパートナーの座を捨てて、リーダーシップ教育機関を立ち上げた著者が、歩く道の中で、どんなシンクロニシティが起こったかについて、書かれた本。
後半の感動的なエピソードには、鳥肌が立つ。

6.
Sさんから薦められた本。台湾の裏社会に生きる阿部氏が実体験の中で説く「道(タオ)」について。世の中には、すごい人がいるものだ・・・・。

7.
先日ご紹介した、奇跡のリンゴ。素晴らしい。食べてみたい。

8.
世の中には、過小評価されている名経営者という方々が何人かいらっしゃるが、大和団地、大和ハウス工業をターンアラウンドした樋口武男さんは、間違いなくその一人。
経営に携わる人は、読んで損はないです。

9.
森達也、佐藤優、田中森一、重松清、溝口敦、島田裕己、内田樹、保坂正康、という8人の悪党に著者が行ったロングインタビューをまとめた本。
中には同意しかねる主義主張もあるが、移動車中で読むのに面白いインタビュー集であった。
| 橋口寛 | | 20:35 | comments(0) | trackbacks(83) |
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